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富田 涼平; 富田 純平; 蓬田 匠; 鈴木 大輔; 安田 健一郎; 江坂 文孝; 宮本 ユタカ
KEK Proceedings 2021-2, p.146 - 150, 2021/12
大型二次イオン質量分析装置(LG-SIMS)を使用したウラン粒子のスクリーニング測定(APM)は広い測定領域に複数の粒子を収め、測定範囲内に存在する個々の粒子の座標と同位体組成の情報を得る連続測定である。特に高濃縮の粒子を含むAPMではウラン粒子表面の水素化物生成比が高い場合にU$測定値$=UH+U$真値$となる影響を受けてUの存在率が見かけ上高くなる。APMでは個々の粒子から得られる二次イオンが少ないため正確な水素化物補正ができず、この影響でウラン全体に対するUの存在率が見かけ上低下する問題が起きる。そこでAPMの測定前に一定時間だけイオンビームを照射することでウラン粒子表面の水素化物生成比の低減を試みた。また、粒子表面を十分にスパッタしやすいマニピュレーション-APM(APM-mani)についても実験を行い、水素化物を効果的に低減できるスクリーニング条件を検討した。
西村 一久; 庄司 修一*; 羽成 章*; 佐藤 誠一*; 木原 義之; 遠藤 秀男
JNC TN8430 2001-005, 64 Pages, 2001/09
先進的リサイクルシステムのMOX燃料製造法の有力な候補として外部ゲル化法がある。MOX試験の実施に先立ちウランを用いて基本的な機器の把握・製造条件の確認を行った。製造試験では基本的な条件の調査を行い、1)原料となる硝酸ウラニルの調製とPVA水溶液の調製試験を行い、適切な調製条件を調査した。2)液滴を生成するための滴下原液の調製、振動滴下装置による液滴生成に関する試験を行い、適切な振動数、送液速度を調査した。3)ゲル化反応の際の、原液組成、アンモニア濃度の影響を調査した。4)ゲル球の熟成・洗浄・乾燥条件について試験を行い、不純物の除去効果などを調査した。5)乾燥ゲル球の示差熱分析及び焙焼試験を行い、酸化物粒子を得た。このことで最終的な焼結粒子が得られる見通しがついた。また、特性評価などを行い、粒子直径の高い制御性や物質収支に関して技術的な問題がないことを確認した。本試験の結果、振動滴下装置を用いたゲル化法についてのMOX粒子製造試験を行う準備がほぼ整った。しかし、ゲル球の表面ひび割れなどの未解決課題については引き続きウラン試験を行い解決する必要がある。
安田 健一郎; 鈴木 大輔; 宮本 ユタカ; 宇佐美 秀彦*
no journal, ,
保障措置環境試料分析手法で用いられるプルトニウムやウラン粒子の同位体組成分析は原子力施設等における未申告活動を検知する手段として重要であり、アルファ壊変により放出されるアルファ線の飛跡を検出するアルファトラック(T)法や、中性子誘起核分裂により生じる核分裂片の飛跡を検出するフィッショントラック(FT)法が多用されている。しかしながら、これらの方法は粒子の位置情報を得ることのみを目的としているため、核物質の組成や量の想定は困難であった。本発表では、同じ範囲を対象に各トラック法を適用し、それにより得られた個々の粒子に由来するT数とFT数のデータを組み合わせることで核物質の組成を推定し、粒子の高感度かつ選択的に検出する手法を開発した。ポリカーボネイト製フィルムに閉じ込めた粒子試料を作成し、それぞれのトラック検出材の飛跡を重ねて観察することで、保障措置上重要性の高いプルトニウムや高濃縮ウランを含む粒子の高感度で選択的に検出することが可能となった。
富田 涼平; 富田 純平; 鈴木 大輔; 安田 健一郎; 宮本 ユタカ
no journal, ,
ウラン粒子の同位体比を大型二次イオン質量分析装置(LG-SIMS)で測定するには、同位体比が保証されたウラン標準粒子が必要である。我々は、以前に多孔質シリカ粒子に同位体比標準溶液を浸透させる含侵法を考案し、ウランを含む模擬粒子を簡便な方法で作成することを可能にした。本研究では、標準粒子に近い性能を持つ模擬粒子を目標とし、粒子1個あたり数pgのウランを含む模擬粒子の作成を試みた。得られた模擬粒子の同位体比をLG-SIMSによって測定し、模擬粒子の同位体組成の正確さや精度、母材が測定結果へ与える影響を評価した。作成した全ての模擬粒子はUの存在度(atom%)の標準誤差(2:約0.3%)の範囲で保証値と一致したが、保証値に対して系統的に約0.1%高い値を示した。また、模擬粒子の測定結果から求めた質量差別効果の補正係数はU100粒子から求めた補正係数と不確かさの範囲で一致しなかった。模擬粒子はU100と同等の正確さと精度を示したが、シリカを主成分とする模擬粒子は帯電しやすいといった違いがあり、これらが同位体差別効果を通してLG-SIMS法の測定結果に影響する可能性が示された。
富田 純平; 富田 涼平; 鈴木 大輔; 安田 健一郎; 宮本 ユタカ
no journal, ,
単一U粒子の同位体比をPBの影響を最小限に抑えて正確に測定できる技術を開発することを目的に、使用する酸の量や容器を工夫することで、得られる効果やU同位体比測定に及ぼす影響を定量的に評価した。本実験では、U濃縮度10%のU溶液を多孔質シリカ粒子に含浸させて作った模擬U粒子を分析試料とした。底面円錐型容器を使用して溶液を1箇所に集中させることにより酸の使用量を低減したICP-MS測定試料溶液調製法を考案した。この試料調製法によるPBのU量は0.2pg、U/U比は0.0190であった。この同位体比は検出器の校正に用いるNBL CRM U015(0.0155)に近い値であることから、脱溶媒装置に極微量残存しているU015が検出されたものと考えられる。粒子中のU量が少ないほどU/U比が保証値よりも小さくなっており、PBのUに起因する影響が無視できなくなっていた。一方、U量が23pg以上の粒子では、U/U比が標準偏差(2)の範囲内で保証値と一致し、正確なU同位体比測定が可能であることが明らかとなった。